ビブリオバトル⑤『君の膵臓を食べたい』

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 グロテスクな題名、爽やかな桜の表紙、帯に書かれている「涙する」という言葉、この3つがどのように繋がっているのかを知りたいと思ったのが、私がこの本を手にしたきっかけだ。
 登場人物は、

 クラスの中心人物で友達もたくさんいる人気者で、

 膵臓の病気のためにもうすぐ死んでしまう女の子と

   彼女とは正反対の人物、友達もいない、性格も暗い男の子。

 

 そんな正反対の位置にいる2人が、病気をきっかけに出会う。

病気のせいで普通に恋をする時間がないというもどかしさが、この本の1つのポイントだ。

さらに、この男子生徒の名前は最後まで明かされない。

彼に対して相手がどのような印象を抱いているかを彼自身が想像して、彼が当てはめている。 

例えば、【秘密を知っているクラスメイト君】や【地味なクラスメイト君】など。これが、彼と彼女の関係性や、彼と周囲の人々の距離感を効果的に表している。

自分が傷つく前に先に自分を下にすることで、自分を守りたいかったからかもしれない。

そこに共感する人もいると思う。
 

 ラスト40ページで題名の本当の意味、表紙の意味、男子生徒の名前の表記の意味が知ることができた。とても悲しく切ない物語だが、どこかスッキリする、暖かい物語である。

 高校生活を終え、大人になる途中の大学生にぜひ読んでほしい。